「アルバイトでたくさん稼ぎたい!」と考えている学生さんは多くいらっしゃることでしょう。 ただ、無計画に働き過ぎてしまうと、親御さんの税金が上がったり、学生さんの収入にも税金がかかってきてしまいます。
アルバイトの年収が103万円以内であれば、親が納める税金に対して「扶養控除」が適用され、学生本人には所得税がかかりません。 年収が103万円を超えると親の扶養家族から外れますが、130万円以内の年収の場合は、「勤労学生控除」を利用することで、学生本人の所得税が非課税となります。
今回は、学生アルバイトの収入と税金について、「扶養控除」と「勤労学生控除」の関係性を解説します。
扶養控除とは
「扶養控除」とは、養っている家族の人数に応じて、所得金額から一定の金額(学生の場合は38万円)を控除し、親の税金負担を軽くする制度です(2020年度から基礎控除額は所得2400万円を超える高額所得者を除き、48万円に引き上げられます)。
NO.1180 扶養控除:国税庁HPより
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1180.htm
扶養控除の対象者
扶養控除の対象者は、生計を共にしている配偶者以外の16歳以上の親族です。同居している必要はなく、親元を離れて親の仕送りで生活している学生も対象です。
扶養控除の対象となる条件
扶養控除の条件は、「年間の合計所得金額が38万円以下」です(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)。
「所得」とは、収入の合計額から「給与所得控除(65万円)」を差し引いた後の金額です(2020年度より給与所得控除の最低額は55万円に引き下げられます)。
扶養控除対象所得の上限「38万円」と、給与所得控除「65万円」を足すと「103万円」です。つまり、 年収が103万円以上の場合は、給与所得控除65万円を差し引いた所得金額が38万円以上となるため、扶養控除の対象から外れます(令和2年より扶養控除対象所得の上限は48万円になっています)。
勤労学生控除とは
「勤労学生控除」とは、納税者が勤労学生の場合、所得金額から一定の金額(27万円)を控除する制度です。
アルバイトによる年収が「130万円」以内の場合、学生本人の税金が非課税となります。
計算式:年収130万円-給与所得控除65万円-基礎控除38万円-勤労学生控除27万円=0円
令和2年からの計算式:年収130万円-給与所得控除55万円-基礎控除48万円-勤労学生控除27万円=0円
学生本人は「103万円」以上の収入が得られる反面、「扶養家族」からは外れるため、親の税金負担が増えます。自分自身が「基礎控除38万円」の対象となる代わりに、親は「扶養控除38万円」が差し引かれなくなるためです。
NO.1175 勤労学生控除:国税庁HPより
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1175.htm
勤労学生控除の対象となる3つの条件
勤労学生控除の対象となるには、以下3つの条件が必要です。
(1)給与所得があること
アルバイト(短期でも可)や派遣など、勤労により企業から給与を得ていること。
(2)合計所得金額が65万円以下(2020年から75万円)、加えて、勤労以外の所得が10万円以下であること。
(3)所定の学校の学生であること
高校や大学、専修学校や職業訓練校に通う学生が対象。 「所定の学校」の要件は細かいですが、例えば語学スクールや習い事のスクールなどは対象外です。不安な場合は学校に問い合わせてみましょう。
勤労学生控除のメリット
学生本人の給与が130万円まで非課税になります。
勤労学生控除のデメリット
親の扶養から外れるため、親の税金負担が増えます。勤労学生控除を受ければ、学生自身は所得税が非課税になりますが、親の納税額が増えることで、世帯としては収入が減少する場合があります。
まとめ:学生さんだけで決めず親御さんと話し合って決めよう
勤労学生控除を受ける際には、扶養家族から外れても問題がないか、家族とよく話し合ってみてください。親が納めるべき税金にも影響があることをよく理解した上で利用しましょう。 扶養控除や勤労控除の仕組みをきちんと理解して、自分の生活のみならず、家族の生活にも合わせた稼ぎ方を考えてみてはいかがでしょうか。