住宅ローンを組む際、団体信用生命保険の特約は本当に必要なのか?

住宅ローンを組む際、団体信用生命保険の特約は本当に必要なのか?

住宅ローンを組む時に基本的に必須加入となるものが団体信用生命保険(以下団信)という保障です。

生命保険などいらない、という主義の方でも多くの場合この保障への加入がマストになっています(フラットの機構団信は外すことも可能です)。

参考:フラット35・新機構団信について

マストである理由としては、住宅という担保があるとはいえ、銀行が一個人に何千万円もの金額を貸すわけですから、万一のことがあった際に残された家族が返済できないというリスクを避けるためです。

記事の監修者情報
慶應義塾大学経済学部経済学科。大学在学中は国際金融論を専攻。国内大手保険会社にて、個人営業・法人リスクコンサルティングを行う。保険コンサルティングやライフプランニング設計を通じた住宅予算診断、資産運用などを得意とし、これまでの保険・家計相談は1000件を超える。

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そもそも団体信用生命保険やその特約とは何か

では、その保障内容はどんなものなのでしょうか。

簡単に申し上げると住宅ローンを借りた方が万が一亡くなってしまった場合や、高度障害という極端な状態になってしまった場合に残りのローン残高がゼロになり、以降の返済は必要なくなるというものです。

遺族は返済義務のない家という財産が手に入るということです。

ではこのコラムの議題である団信の特約とはどんなものなのでしょうか。

一言で申し上げると、団信の保障の幅を広げるものです。

例えば、「がん」と診断されたときに残債が半分またはゼロになるもの、さらにはもっと保障の範囲を広げた3大疾病保障7大疾病保障全疾病保障というものもあります。

上乗せされる保険料は多くの場合金利に上乗せで0.1%~0.3%です(2020.3月時点ですと無料で「がん」などを保障する銀行もあります)。

こちらの特約をつけることによって毎月の支払いはどう変化するかというと、0.3%上乗せの場合、仮に3000万円を35年間、0.5%で借りると毎月約4000円支払い金額が増え、支払総額が170万円殖えるということになります。

特約をつける3つのメリット

コストはかかってもやはり特約をつけることによるメリットがあります。

まず一つ目は、安い掛け金で大きな保障が得られるということです。

4000円という実質保険料ながら最大3000万円のローンが返済不要になるのです。

3000万円のがん保険に入ったようなもので、この金額は一般的ないわゆる「がん保険」より保障額が大きいものになっています。

二番目のメリットは、大きな病気になってしまった際の収入減や治療費の心配が少し減るというものです。

三大疾病など、重い病気になってしまった方の半数以上がその後の収入減に悩んでいます。

そんなときに住宅が維持費だけで所有できることは本当にありがたいことですよね。

最後のメリットは年齢が高くても若くても上乗せ金利が変わらないことです。

ある程度高齢になってから住宅を買おうとされている方にとっては大きな保障が手軽な金額で手に入るということになっています(裏を返せば若い方は割を食っているというとらえ方もできてしまいますが…)。

特約をつけた際の3つのデメリット

それでは、次に団信に特約を付けた際のデメリットをお伝えしていきます。

まず第一に途中解約ができないことが挙げられるでしょう。

一般的な生命保険は解約の申し出があれば即座にやめられますが、団信の特約は基本的に金利に組み込まれてしまっているので、仕組み上中途解約ができないのです。

例えば、10年20年経って十分資産が形成されてきて、もう保険は必要なくなった、という場合に外せないということがデメリットです。二番目のデメリットは高齢になっていくにつれ、保障額が下がっていく、ということです。

残債がゼロになります、ということは、残債が減っていけばその分保障額が減っていく、ということです。

一般的に大きな病気になる確率はお若い方より、高齢の方のほうが高いです。

住宅ローンは80歳までに完済、というのがほとんどですので、それ以降は保障が一切なくなる、ということです。

最後のデメリットは、 生命保険と違ってまとまったお金がもらえるわけではないということです。あくまで「払わなくてよくなる」であって、治療費や生活費などのお金が「もらえる」わけではありません。

ではどうするのが正解なのか

どうするのが正解かというのは、自分で章を作っておきながらで恐縮ですが非常に難しい問題だと思います。

あくまで個人的な見解ですが、上記メリット、デメリットを総合的に判断すると、無料~0.1%程度上乗せするのみの特約保障を付け、残りは将来解約可能な生命保険に別途加入する、というのが私なりの答えです。

あなたに合った方法を

先ほど私の考えを勝手に述べましたが、実は何が正解か、というのは本来ないのです。

皆様はそれぞれ置かれている状況、立場、資産状況、購入されたい住宅の売値ではない客観的市場価値などがバラバラだと思います。そういった個別具体的な状況に応じて、また選択肢も大きく変わってくるものだと思います。保障に加入する、ということは何よりも綿密かつ客観的な現状分析が必要、ということではないかと思います。

生命保険に関しては、こちらのコラムもご覧ください!

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