結婚や出産など、世帯環境が変化すると住宅購入を検討し始める人も多いでしょう。住宅購入は慎重に計画して進めないと、後で後悔する可能性もあります。とはいえ、初めて住宅を購入しようとしている人は、何をすべきか分からない人もいるでしょう。
そこで、本記事では住宅購入でやるべきポイントを購入前と購入後に分けて解説します。これからマイホームの購入を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
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住宅を購入するまでの流れ
初めて住宅を購入する人は、実際にマイホームを手に入れるまでの流れを把握しておきましょう。
住宅購入までの大まかな流れは、以下の通りです。
- 希望の物件を探す
- 住宅ローンの仮審査をする
- 物件の購入申込みをする
- 売買契約をする
- 住宅ローンの本審査をする
- 金銭消費貸借契約を締結する
- 物件の引き渡し
それぞれの項目について詳しく確認しましょう。
希望の物件を探す
住宅購入を検討し始めたら、まずは希望の物件を探しましょう。インターネットで情報を集める方法や、住宅展示場でモデルルームを見学する方法があります。物件を探す場合、どのような住宅を購入したいのか、希望する条件をしっかりと検討してください。
まず検討してほしい2つのポイントは「新築と中古のいずれを購入するか」「戸建てとマンションのどちらを購入するか」です。新築と中古のメリットとデメリットは、以下の通りです。
メリット | デメリット | |
新築物件 | ・清潔感のある部屋に住める ・ローン控除などの優遇措置を受けやすい | ・価格が高い |
中古物件 | ・新築に比べて価格が割安 ・管理が行き届いた物件か事前に把握できる | ・生活感が残っている可能性 |
次に、戸建てとマンションのメリットとデメリットを確認しましょう。
メリット | デメリット | |
戸建て | ・リフォームなどしやすい ・周囲に気兼ねなく生活できる | ・立地が不便な可能性がある ・修繕する場合に大きな費用がかかる |
マンション | ・戸建てよりも資産として活用しやすい ・プライバシーに配慮できる | ・部屋の構造を簡単に変えられない ・修繕費や駐車場代など戸建てよりも費用がかさみやすい |
その他、以下のポイントもチェックしておきましょう。
- 間取りや広さ
- 立地や周辺環境
- 予算や諸費用
どの物件を選ぶにしても、メリットとデメリットは存在しているので、将来的な世帯状況に見合う物件を探しましょう。
住宅ローンの仮審査をする
目当ての物件が探せたら、次に住宅ローンの仮審査を実施しましょう。
せっかく目当ての物件を見つけても、住宅ローンが通らなければ前には進みません。物件価格で住宅ローンが借りられそうか確認しておきましょう。
仮審査は、住宅ローンの本審査の前に金融機関が実施する簡易なチェックです。住宅ローンの返済が問題なく実施できるか確認する目的で「個人信用情報」と「収入」について審査を行います。
- 個人信用情報の確認:クレジットカードの返済や税金に滞納がないかを確認
- 収入の確認:借入額に見合う収入が安定的に得られているか確認
一般的に、事前審査は申請してから1週間程度で結果が出ます。個人信用情報に問題がある場合や、借入額に見合わない収入だと事前審査で落ちる可能性があるので注意してください。
物件の購入申込みをする
住宅ローンの仮審査で融資可能性が見いだせたら、目当ての物件を購入する意思を示すために、申込をしましょう。
物件の購入申込をする場合、申込書の提出が必要になります。もし、後から良い物件が見つかれば、申込は撤回できます。
目当ての物件が見つかったら、まずは申し込みはしておきましょう。また、購入意思を証明するために「証拠金」の支払いが必要なケースもあります。証拠金は、数万円から10万円程度です。
ただし、申し込みを撤回したら証拠金が返金されるかは事前に確認しておきましょう。
売買契約をする
購入申込後は、売買契約の締結に進みます。
まずは、物件の売買条件や住宅性能を記した「重要事項説明書」の説明を受けます。重要事項説明書に記載されている内容で問題ないか、事前に確認しておきましょう。
重要事項説明書の内容に問題がなければ、売買契約書を締結します。また、このタイミングで手付金が必要になります。手付金の金額や必要な準備物は、あらかじめ確認しておいてください。
住宅ローンの本審査をする
売買契約が済んだら、住宅ローンの本申込みを実施します。
あらかじめ仮審査が通過した金融機関の中から、希望する金融機関に本申込みの手続きをしてください。本審査では、物件の資産価値がローン融資額に見合うかどうかをチェックします。
物件の資産価値が担保されているかチェックするため、審査の結果が出るまでは時間がかかる可能性が高いです。本申込みが通過しないと、住宅ローンが組めず物件が購入できないリスクが生じるので、スケジュールに余裕をもって対応しましょう。
金銭消費貸借契約を締結する
住宅ローンの本審査が済めば、金銭消費貸借契約のステップに進みます。
金銭消費貸借契約は、住宅ローンを借り入れて、将来的に同じ金額を返すことを約束する契約です。借入額や借入期間など、返済条件について確認します。
金銭消費貸借契約で提示される内容は、途中で変更することはできません。提示された条件で問題がないか、チェックしておきましょう。
融資実行・物件の引き渡し
最後のステップは、融資実行と物件の引き渡しです。
融資実行は、融資する金額の入出金の確認や、抵当権の登記手続きを行います。手続きがすべて済めば、物件の引き渡しを受けて手続きはすべて完了します。
一般的に、物件の購入申込から引き渡しまでは、1ヵ月半ほど時間がかかります。結婚や出産、子どもの進学などに合わせて、住宅購入の計画を立てましょう。
住宅購入する前にやるべきこと
理想の住宅選びがしたいなら、購入前にやっておくべきポイントを押さえておきましょう。住宅購入前にやっておきたい主なポイントは、以下の5点です。
- 資金計画を必ず立てる
- 内見には必ず行く
- 購入時に必要な費用を確認する
- 複数の金融機関で住宅ローンの仮審査をする
- 郵便物の転送手続き
それぞれの項目について、詳しく確認しましょう。
資金計画を必ず立てる
住宅の購入前には、必ず資金計画の確認をしてください。
購入時にどのような費用がいくらかかるのか把握するだけでなく、住宅ローンの返済によって、将来的な家計や資産に影響がないか、複数の条件でシミュレーションしておきましょう。
特に、子どもの進学を控える世帯や、住宅ローンの返済期間中に老後生活に突入する世帯は、今後の収支バランスが崩れるリスクがあります。そのため、ファイナンシャルプランナーなど専門家に依頼して、ライフプランニングを実施してもらいましょう。
内見には必ず行く
目当ての物件を購入する前には、必ず現地まで内見に行きましょう。
内見は、戸建てやマンションの現状を確認する重要な機会です。自分で調べた情報だけでは判断できない物件の状態をチェックして、購入しても問題ない物件なのか確認してください。
内覧時に確認しておきたいいポイントは、以下の5点です。
- 日当たり
- 周辺環境
- 最寄駅からの距離
- 水回り
- 収納スペース
できるだけ日当たりなどを確認することができる日中に内覧しましょう。
購入時に必要な諸費用を確認する
住宅の購入時に、どのような諸費用がかかるか確認しておきましょう。諸費用には、物件にかかるものと、住宅ローンにかかるものに分かれます。
物件にかかる諸費用 | ・仲介手数料 ・修繕積立金 ・印紙税 ・不動産取得税 |
住宅ローンにかかる諸費用 | ・抵当権の設定にかかわる費用 ・融資事務手数料 ・火災・地震保険料 |
それぞれの諸費用については、以下の記事を参考にしてください。
住宅購入にかかる諸費用とは?住宅選びの前に把握しておきたいポイントも解説
複数の金融機関で住宅ローンの仮審査をする
住宅ローンは、金融機関ごとに金利や返済プランなど異なります。自分の希望する条件に見合うローンを借りるには、複数の金融機関で似たような条件で仮審査を実施しておきましょう。
住宅購入を完了させるには、期限までにどこかの金融機関で本審査を通過しておく必要があります。1つの金融機関しか仮審査をしていないと、もし本審査で落ちた場合に住宅購入まで進まないリスクがあります。
目当ての物件を購入するためにも、複数の金融機関で仮審査は実施しておきましょう。
住民票の移動手続き
物件の引き渡しが済めば、住民票の移動手続きが実施できます。引越し後は新生活の準備で時間が取りにくいので、先に住民票の移動手続きを済ませておきましょう。
郵便物の転送手続き
郵便物の転送手続きも忘れずに行いましょう。住所変更に時間がかかる場合に郵送物が古い住所に届かないように、時間があるときに転送手続きを済ませておきましょう。
住宅を購入した後にやるべきこと
住宅購入が終えて、実際に引っ越してからも以下の通りやるべきことはまだあります。
- 住宅ローン控除の申請
- 住所変更
- 固定資産税などの支払い
それぞれの項目について確認しておきましょう。
住宅ローン控除の申請
10年以上の住宅ローンで家を購入した場合、入居してから一定期間、所得税を軽減する制度を「住宅ローン減税」といいます。
住宅ローン減税の適用期間は、新築住宅や買取再販住宅の場合は13年間、既存住宅であれば10年間です。
年末のローン残債の0.7%が所得税や住民税から控除されるので、所得税や住民税の負担が軽減されます。
住宅ローン控除を受けるためには、引っ越した翌年に実施される確定申告をする必要があります。忘れずに申請しましょう。
住所変更
物件の購入後は、保険や定期購入している物品の届け先となっている住所を変更しましょう。転送手続きの有効期間は1年間のため、時間のあるときに送付先を変更してください。
固定資産税などの支払い
固定資産税などの支払いが必要になるので、忘れずに行いましょう。固定資産税については、毎年5月頃に自宅に納付書が届きます。4期分に分けて送付されるので、それぞれ期限までに納付してください。
住宅購入でやるべきことは明確にしておきましょう
住宅購入の流れと、購入前と購入後にやっておくべきポイントを分けて解説しました。
住宅を購入するまでの流れや、やっておくべきことを把握しておけば、理想の住宅選びがしやすくなります。
また、資金計画や諸費用については、専門家のアドバイスが必要なケースもあります。自分だけで考えるのではなく、不動産やお金の専門家であるファイナンシャルプランナーにもアドバイスをもらい、住宅購入に向けた準備を進めてください。
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2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大手保険代理店で9年間、主に個人のライフプランニングを通した顧客の相談を行う。1500件を超えるこれまでの相談経験から、顧客の課題や悩みに幅広く寄り添える独立系のFPを志し活動している。FPとして顧客の相談を行う一方、3つの金融メディアにて社会保障制度や奨学金制度、家計をテーマにした執筆活動も並行して活動中。