どのくらい医療費がかかるのかといっても、一律ではなく、こればっかりは本当に患者さんごとのケースバイケースなので、厚生労働省の統計から分析してみることにしましょう。
- 医療費については、平成29年社会医療診療統計
- 入院日数については、平成29年患者調査
上記を元に分析します。
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医療費の分析
社会医療診療統計「第11表 傷病分類別1日当たり点数」が費用の統計になっています。1点=10円で換算されて、一般的な健康保険であればその3割負担となります。
(1)がん(悪性新生物)
入院:6,328.9点/1日、入院外(=通院等):2,479.4点/1日
(2)脳梗塞
入院:3861.6点/1日、入院外(=通院等):1,115.7点/1日
(3)虚血性心疾患
入院:13,019.8点/1日、入院外(=通院等):1,356.0点/1日
この中で最も高額な虚血性心疾患では、1日入院するだけで130,198円もかかる、ということです。3割負担でも39,059円/日です。
しかもこの金額、大部屋が空いていなかった時のベッド代、食事代などその他かかる費用は含まない金額なので非常に大きな負担ですよね。
入院日数の分析
患者調査「表6 傷病分類別に傷病分類別にみた年齢階級別退院患者の平均在院日数」で入院日数が把握できます。
この調査で注意が必要なのは、「退院患者」の平均日数であり、入院中に残念ながらお亡くなりになった方の数は含まれていないため、重症であった場合は日数が延びる可能性があります。
- がん(悪性新生物):16.1日
- 脳血管疾患:78.2日
- 心疾患(高血圧性を除く):19.3日
平均医療費と平均入院日数から見えるもの
上記2つを掛け合わせると、入院中の平均医療費が算出されます。
- がん:1,018,953円 ⇒ 3割 305,686円
- 脳梗塞:3,019,771円 ⇒ 3割 905,931円
- 心疾患:2,512,821円 ⇒ 3割 753,846円
見ての通り、自己負担額でも30万円から100万円を超えそうな勢いのものまであることがご理解いただけるかと思います。
確かに高額療養費制度もありますが、基本的には申請をして数か月後に還付される後払いの費用になっているので、入院をした場合はまず上記の費用負担が一気にのしかかってくる可能性の方が大きいかと思います。
まとめ:公的保障をしっかり理解しよう
今回は統計から分かる入院の費用のみ計算してみました。
しかしそれ以外の通院や入院中の食事負担額(1食430円)、もし個室などに入院した場合の差額ベッド代などは統計に出てこない費用で、それらも上乗せでかかってきます。
そうなると三大疾病にかかってしまった時は一時的ではあるものの、非常に大きな費用負担が家計を襲うことになります。そのときに支えてくれる医療保険を持っておくとご家族は安心されるかも知れませんね。
ただし、医療保険も入ればいいというわけではありません。
例えば、一生保険料が変わらない3,000円の医療保険に30歳の方が加入したとして、90歳まで払ったとすると、生涯の保険料は2,160,000円になります。医療保険とは非常に大きな買い物ですし、多くの方が健康に過ごし医療保険を使わないので払った保険料を回収できません。
とりあえず3,000円くらいだし、と簡単に加入してしまうのではなく、一度ご自身にもしものことがあったときに、どの程度公的な保障があって、どの程度自己負担があるので、お金を払ってまで追加保障がいるのかどうか、ということに向き合ってみてはいかがでしょうか。
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2級ファイナンシャル・プランニング技能士
証券外務員1種・貸金業務取扱主任者
不動産デベロッパー、外資系生命保険会社を経て、Ever Side株式会社に入社。金融商品や住宅などの不動産をうまく活用して、お客様が経済的に豊かな人生を送れるよう、アドバイス業務を行っている。ライフプランニングを軸にした長期資産形成アドバイスと住宅予算診断が得意分野。趣味は音楽とドライブ。