住宅購入を考え始めた人は「自分の年収でいくらの家が買えるか」疑問に感じるのではないでしょうか。実際のところ、家を買う場合によく検討すべき項目の1つが「住宅予算」です。
では、年収から目安の予算をどのように考えると良いのでしょうか。今回は、年収別に検討できる住宅の予算の目安を解説します。これから家を購入したいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
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家を購入した人の世帯年収
実際に、家の購入を検討している世帯の年収がいくらなのか、住宅金融支援機構の調査から確認しましょう。2024年4月に住宅金融支援機構が公表した「住宅ローン利用予定者調査」から、住宅ローンの利用を予定している人の世帯年収は以下の結果となりました。
- 世帯年収400万円以下:12.9%
- 世帯年収400万円超600万円以下:27.3%
- 世帯年収600万円超800万円以下:23.2%
- 世帯年収800万円超1000万円以下:17.6%
- 世帯年収1000万円超1500万円以下:13.6%
- 世帯年収1500万円超:5.5%
ボリュームゾーンだったのは「世帯年収400万円超600万円以下」でした。次いで「世帯年収600万円超800万円以下」が続きます。以上から、世帯年収として目安とするラインは「400万円から800万円」となりました。
ただし、物件価格は年収ごとに慎重に決める必要があります。では、年収別に物件価格がいくらになるのか目安を確認してみましょう。
年収別にみる物件価格の目安
一般的に、目安とされている物件価格は「年収の5倍から7倍」とされています。年収ごとに物件価格を見ると、以下のとおりです。
世帯年収 | 年収の5倍 | 年収の6倍 | 年収の7倍 |
400万円 | 2000万円 | 2400万円 | 2800万円 |
500万円 | 2500万円 | 3000万円 | 3500万円 |
600万円 | 3000万円 | 3600万円 | 4200万円 |
700万円 | 3500万円 | 4200万円 | 4900万円 |
800万円 | 4000万円 | 4800万円 | 5600万円 |
無理のない範囲で購入したいなら、年収の5倍から6倍をイメージしましょう。ただし、家を買うエリアや生活スタイル、世帯状況によって適正とされる物件価格も変わります。
たとえば、同じ世帯年収700万円でも、都市部と地方では物価水準も異なります。そのため、買える住宅価格の目安額が変わる場合があります。また、自己資金や家族構成でも購入できる目安額は変わるので、あくまでも目安額として押さえておきましょう。
年収別にみる住宅ローンの返済額
住宅ローンの返済をする際に、負担が少ない返済額を年収別に確認します。一般的に、住宅ローンで無理のない返済額を計算する場合は「返済負担率」を計算します。
- 返済負担率:住宅ローンの年間返済額が年収に占める割合
返済負担率は、25%以内に抑えるのが無理のない範囲とされています。では、以下のケースで住宅ローンがいくらまで借りられるのか確認しましょう。
- 金利1.8%
- 固定金利
- 35年返済
世帯年収 | 毎月の住宅ローン返済額 | 住宅ローン借入額 |
400万円 | 約8万3000円 | 2590万円 |
500万円 | 約10万4000円 | 3240万円 |
600万円 | 12万5000円 | 3890万円 |
700万円 | 約14万6000円 | 4540万円 |
800万円 | 約16万7000円 | 5200万円 |
住宅ローンの借入額の目安も、自己資金や家族構成で変わります。あくまでも参考程度に把握しておきましょう。
家を買うときに注意したいポイント
家を買う際は、年収のほかにも注意したいポイントがあります。主な注意点は、以下の4つです。
- 購入時の諸費用に気をつける
- 住宅ローン選びに気をつける
- 修繕費や維持費に気をつける
- 住宅以外の支出の増加に気をつける
それぞれのポイントについて確認しましょう。
購入時の諸費用に気をつける
住宅を購入する場合、住宅ローンの返済以外にも費用がかかります。一般的に、購入時にかかる費用には「物件購入時の諸費用」と「住宅ローンを組む際に必要な諸費用」があります。
物件購入時の主な諸費用は、以下の通りです。
- 仲介手数料
- 印紙税
- 不動産取得税
売買を仲介した不動産会社に支払う手数料や売買契約書に貼る収入印紙にかかる印紙税が必要になります。住宅ローンを組む際の主な諸費用は、以下の通りです。
- 抵当権の設定にかかわる費用
- 融資事務手数料
- 火災・地震保険料
抵当権の設定費用や金融機関が融資をする際に必要な手数料、保険料があります。基本的に、諸費用は現金で支払う必要があります。諸費用の目安は、物件価格の3%から10%です。
住宅購入前には、諸費用の支払いに備えるために預貯金を蓄えておきましょう。
住宅ローン選びに気をつける
住宅ローン選びにも注意しましょう。住宅ローンの金利が低いと、利息の支払いが抑えられるメリットがあります。複数の金融機関を比べて、金利がより低いローンを組みましょう。
また、住宅ローンには金利のタイプは「全期間固定金利」「変動金利」「固定特約金利」の3タイプがあります。
全期間固定金利 | 変動金利 | 固定特約金利 | |
メリット | 住宅ローンの返済額が変わらない | 低金利で借りられると返済額が少なくてすむ | 一定期間は金利が変動しない |
デメリット | 変動金利に比べて金利が高い | 住宅ローンの返済額が変動する | 固定金利を継続すると当初の金利より高くなる可能性がある |
これから住宅ローンを選ぶ人であれば、複数の銀行を比べて金利がより低い変動金利を選ぶと良いでしょう。ただし、金利が上がってローンの返済額が上昇すると、払えないリスクがあります。
自分たちの貯蓄や資産額を考えながら、借り入れする住宅ローンの金利タイプを慎重に検討してください。
修繕費や維持費に気をつける
マンションを購入する場合、修繕積立金や管理費の支払いが必要です。住宅ローンとは別に納める必要があるので、収支バランスが崩れないか注意してください。また、戸建ての場合も自分で住宅のメンテナンスが必要です。
外壁や屋根などの修繕が必要になると、まとまった費用を支払わないといけません。住宅ローンが払えているからと安心していると、まとまった費用が捻出できない事態となるので、余裕をもった家計の管理を心がけましょう。
住宅以外の支出の増加に気をつける
最後に、子どもの生活費や教育資金、インフレや光熱費の高騰などで将来の生活費が増加する点に注意しましょう。生活費や教育費など、住宅費以外の項目で支出が増えてしまうとローンが払えなくなるリスクが高まります。
支出が増加してもローンの支払いに影響が出ないように、余裕をもった生活設計が必要です。
年収で決めずに将来の収支予測から適正予算を考える
これまでの章で解説したとおり、住宅の予算を年収だけで決めると、思いがけない支出によって生活が破たんする可能性があります。適正予算を把握するためには、収入や生活費、子どもの教育費、貯蓄の見通しを予測しなといけません。
インフレや老後の生活までを見通したライフプランニングをしたうえで、適正予算がいくらなのかシミュレーションしましょう。
まとめ
年収別に住宅の購入価格を解説しました。あくまでも目安ですが、年収の5倍から7倍が住宅の購入価格とされています。また、住宅ローンは年収の25%以内で組むことができれば、負担を感じることが少ないでしょう。
とはいえ、年収だけでいくらまでの家が買えるのかを判断するのはリスクが高いです。家を買う際の注意点もあわせて解説しているので、住宅購入を検討している人は忘れずにチェックしておきましょう。
また、収入や家族構成、支出の変化も加味しながら将来の収支をシミュレーションしておけば、住宅の適正予算が把握できます。ライフプラン表を活用して、将来にわたって安心できる適正予算を確認しておきましょう。
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2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大手保険代理店で9年間、主に個人のライフプランニングを通した顧客の相談を行う。1500件を超えるこれまでの相談経験から、顧客の課題や悩みに幅広く寄り添える独立系のFPを志し活動している。FPとして顧客の相談を行う一方、3つの金融メディアにて社会保障制度や奨学金制度、家計をテーマにした執筆活動も並行して活動中。