ロールオーバーってなに?これからのNISAも賢く利用するために

ロールオーバーってなに?これからのNISAも賢く利用するために

NISA制度が始まってから6年が経ちました。制度開始年からNISAを開設されていた方の中には、昨年から非課税期間終了を迎えた方もいらっしゃるかと思います。

非課税期間終了に伴い、初めて出てくるのが「ロールオーバー」という単語ではないでしょうか。

この制度を利用するかどうか、内容をしっかりと理解して判断していきましょう。

記事の監修者情報
慶應義塾大学経済学部経済学科。大学在学中は国際金融論を専攻。国内大手保険会社にて、個人営業・法人リスクコンサルティングを行う。保険コンサルティングやライフプランニング設計を通じた住宅予算診断、資産運用などを得意とし、これまでの保険・家計相談は1000件を超える。

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ロールオーバーとは?

ロールオーバーとは、翌年の非課税枠に残高を移すことができる制度です。

例えば、今年2019年に非課税期間が終了する残高について、翌年2020年のNISA枠へロールオーバーすることで、5年間非課税期間を延長することができるのです。

ロールオーバーを行うと、該当残高の年末時点の評価金額分、翌年の非課税枠が消費されます。値上がりが大きく年末時点の評価が120万円を超過する場合も、NISA枠120万円を全て消費するという条件でロールオーバーが可能です。

ただし翌年のNISAについてつみたてNISAを選択している場合ロールオーバーはできませんので、検討されている場合はご自身の開設状況を早めに確認しましょう。

メリット・デメリット

非課税期間の延長という大きなメリットがあります。

売却益だけではなく、NISA保有の残高については分配金等の配当益も非課税で受け取ることができますので、追加5年の非課税期間は大きなメリットと言えるでしょう。

デメリットとしては、ロールオーバーに利用した分、翌年の非課税枠の利用可能額が減少することが挙げられます。

NISAを利用して買付検討している商品がある場合は、使える非課税枠が少なくなるため、思い通りに投資ができない可能性があります。

どう選ぶ?選択の際の注意点

非課税期間終了に当たって、選択肢は3つあります。

  1. 今年のうちに非課税で売却する
  2. 特定口座もしくは一般口座への払い出し
  3. ロールオーバー

現状の損益と投資方針をはっきりさせた上で選択することが大切です。

また、なにも手続きをされない場合、自動で払い出しが選択されますのでご注意ください。

損失が出ているケース

通常の証券口座に払い出しすることはメリットが少なく、特に注意が必要です。

払い出し後、値上がりを期待して継続保有する場合でも、損を出しての売却を検討する場合でも、通常とは異なるリスクがあります。

まず、払い出しを行うと、実際の買付金額ではなく払い出し時点の評価金額が買付金額とみなされます。そのため払い出し時点より評価が上がれば、利益という扱いになり課税対象となるのです。

そのため売却時、実際の買付金額と比較すると損失でも税制上は利益とみなされ、思ったような損出しの効果が得られない・逆に利益として課税されてしまう可能性があります。

また、実際の買付金額より値上がりしてから売却できた場合も、払い出し時点の評価金額と比較して税制上の利益額が決まるため税金はかかることがポイントです。

利益が出ているケース

非課税期間内に売却するのも一つの方法です。

特に翌年のNISA利用予定がある、もしくはつみたてNISAのためロールオーバーができない場合、払い出しを行うより非課税期間内に売却したほうがNISAで買付したメリットを享受できる可能性が大きいことにご留意ください。

ロールオーバーができる場合であれば、ご自身の投資方針に沿った選択をしましょう。値上がりの見通し配当益の非課税メリット翌年のNISA利用予定を加味して検討していきましょう。

継続保有する場合、基本的には、通常の証券口座に払い出しするよりも、ロールオーバーしてNISAで保有するほうが当該残高に関してのメリットは大きいでしょう。

最後に:放置して「払い出し」は避けよう

ロールオーバーについては、いつでもできるというわけではなく各金融機関で期日が定められています。

また、なにも対処せずに放っておくと、自動で通常の証券口座に払い出されてしまいます。金融機関に確認の上、早めに検討し必要な手続きを行いましょう。

2024年から通常NISAがややこしくなってしまう予定(新しいNISA制度:金融庁)ですので、今一度NISA関連の知識をそれを踏まえて見直して、ロールオーバーなどこれからのNISAを賢く計画的に利用していきましょう。

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